【つなぐPJ】(東京)2018/5 家族写真が伝える“平和”  ーカメラマン・堂畝紘子さんに聞くー

5月3日、写真展「生きて、繋いで ―被爆三世の家族写真―」を開催中のカメラマン・堂畝紘子さんを訪ねた。

2015年より、被爆三世とその家族を撮影し始めた堂畝さん。活動を始めたきっかけや、同世代への想いを伺った。

堂畝さん01

活動を始めたきっかけは?

広島で生まれ育ち、幼い頃から平和教育も受けてきたので「自分も何かしなくちゃ」という思いがずっとありました。自分も見て育った平和学習のアニメなどを作る仕事がしたいと上京しましたが、なかなか望む仕事ができずに断念。18歳の時から趣味で続けていた写真を学ぶため、都内スタジオで人物撮影を学びました。

その後、カメラマンのアシスタントを経て、2011年に帰郷。カメラマンとして独立しました。「自分にしかできないこと(写真)」で平和を伝えたいという思いはありましたが、どう表現していいのか、何を撮影したらいいのか、分からないまま数年を過ごしました。

原爆投下から70年を迎える頃、高校の同級生に相談しました。

すると「私を撮るのはどうか?」という言葉が返ってきました。聞くと彼女が留学していた時、「祖父が被爆者である」ことを伝えると、子供を遠ざけられてしまうという出来事があったそうです。これをきっかけに彼女は「“被爆三世”、“被爆者の孫”とは?」と、意識するようになったそうです。

「被爆三世である私を撮ることで、何か見えてこない?」友人の提案をきっかけに、こうしたテーマで写真を撮るようになりました。

お話を聞かせてくれた堂畝紘子さん

お話を聞かせてくれた堂畝紘子さん

 

撮影を始めて半年、7組の家族を撮影しました。そこで気付いたのが「被爆三世である」という自覚はあっても、おじいちゃん・おばあちゃんがどういう体験をしたか知らない、という人がかなり多いということ。気軽に聞けることではないけれど、今聞いておかないと、次の世代に繋いでいけなくなる。撮影を“継承”のきっかけにすることが大事なのではと思うようになりました。

なるべく広い世代に集まってもらい、撮影の時間に被爆体験を聞いたり、平和について話したりしてもらいました。若い世代がいかに(戦争や原爆について)考えていなかったか痛感する一方で、最初は嫌々参加していた子から「考えが変わりました」という言葉が出てきて…(こうした活動が)何かのきっかけになるんだな、と実感することができました。

 

被爆地を出て初開催について

広島・長崎での開催時に県外から足を運んでくださる方もいました。そうした方々から「実は祖父が特攻隊で…」「黒塗りの教科書の話を聞いた」など、展示をきっかけにご家族のお話が出てくることがありました。日本中のおじいちゃん・おばあちゃんが体験した戦争。戦時中の話を聞ける家庭は、全国にまだたくさんあると思います。

切り口は「被爆三世の家族写真」ですが、そこを戦争や平和について知る・考える入り口にしてもらいたいな、と。現地に行かないとわからないこともたくさんありますが、まずは“知る”そのきっかけの1つになればと、今回東京での開催に至りました。

 

今後の活動について

第三者が入ることで「初めて被爆体験を聞けた」というご家族もいるので、自分にお手伝いできるなら、(広島)県内外問わず撮影を続けていきたいと思っています。展示に関してもローカルな話題にとどまりたくはない。全国で、世界で考えていけるような企画にしたいと思っています。

 

“原爆を体験していない”世代への想い

私たちの世代は実体験として知らない分、戦時中の出来事を他人事だと思いやすい。修学旅行で訪れた広島・長崎で初めて聞いた被爆者の話を「我が事だと思え」というのは難しいかもしれません。でも「家族の話」は他人事ではない。おじいちゃん・おばあちゃんがどういう体験をして、お父さん・お母さんが生まれて、自分が生まれたか。まずは家族を知り、自分のルーツ知ることで、戦争や平和について考えていければいいよね、と思います。

 

 

堂畝さんの家族写真には、一枚一枚「孫(被爆三世)が聞いた祖父母の被爆体験」がキャプションとして添えられている。今ではカメラの前で笑顔を見せる“普通のおじいちゃん・おばあちゃん”が、どれほどの悲しみや苦しみを体験したのだろう。

 

また、中にはほとんど記載のないキャプションもある。“語れなかった”、“聞けなかった”ことも1つの事実なのだ。

「どうしても語れないおばあちゃんもいた。でも“語れなかった”姿を知っていることも大事だと思う」この堂畝さんの言葉を聞き、私も一歩踏み出せずにいた「自分の祖父母の被爆体験と向き合う」ことに取り組んでみようと思った。距離が近いからこそ、聞けることがあり、聞けないことがあると思うが、堂畝さんの言うように、まずは“知ろうとする”ことを大事にしようと思う。

 

写真展は汐留メディアタワー 3階ギャラリーウオークで、5月30日まで。

家族写真が伝える、次世代への平和の想い。様々な世代の人に感じてほしいと思う。

 

中尾(継承活動に取り組む人々をつなぐPJ)

*この写真展については以下の記事をご参照ください

【東京】5/3(木・祝)~5/30(水)『生きて繋いでー被爆三世の家族写真ー』のご紹介

*あなたも記事を書いてみませんか/ライター募集中

「継承活動に取り組む人々をつなぐプロジェクト」ボランティア募集とこれまでの取材記事紹介

 

 

コメントを残す