被爆70年「被爆者として言い残したいこと」調査

被爆70年調査の報告書は、6月の被団協総会に向けて発行する予定で、ほぼその骨格が固まってきています。

4月22日(土)には、八木良広さん(愛媛大学教育学部 特定研究員)、根本雅也さん(学術振興会 特別研究員)と事務局・栗原で、そのための打ち合わせを行いました。

各設問に対する回答(選択肢項目の単純集計と自由記載)にみる特徴をどのようにおさえるかを検討し、自由記述の特徴をあらわず回答を抜粋。この調査のあらまし(目的、回答者の属性・調査結果の概要)とともに、その意義をどのようにおさえるかについても議論し、被団協のみなさんのご意見をいただきながら仕上げる段取りになっています。

なお、被爆70年には厚労省も「平成27年度原子爆弾被爆者実態調査」を行っており、3月にその結果が公表されています。厚労省のホームページで見ることができます。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/88-1.html

10年ごとに「被爆者の生活、健康等の現状を把握することを目的」として行われる「実態調査」ですが、そこで把握されるのは、平均年齢、就業及び所得の状況、現行法による手当の受給状況、受療の状況、介護等の状況といった内容で、ここには、被爆から70年を生きてきた被爆者に今なお残る苦しみや不安、体験に根ざした願いや思いをとらえようとする問題意識はまったく見られません。10年経てば平均年齢は高くなり、就業者や所得は減り、病弱化もすすむ、という自明のことを何のために調査しているのか、これが国の施策にどのように活かされるのかも含めて、疑問を感じざるを得ません。

国はこれまで、被爆者の「生活と健康の実態」をくり返し調査してきましたが、それを原爆被爆との関連でとらえ、原爆被害の全体像を把握・究明しようとはしてきませんでした。日本被団協が多くの専門家や国民とともに原爆被害者調査(1985)をはじめとする様々な調査を重ねてこなかったら、原爆のもたらした人間被害とその反人間性について、どれだけのことが明らかにされたでしょう。

いま、核兵器の非人道性をもとに核兵器廃絶条約の締結に向けて国際世論が大きく高まってきています。しかし、わが国の政府は、「被爆国」でありながら、そのために貢献するような原爆被害の究明も情報提供もしてこなかったのです。

被団協とともに行った被爆70年の「被爆者として言い残したいこと」調査は、回収数こそ700余りと決して多くはありませんが、原爆を体験して70年を生きてきた被爆者一人一人の抱える苦しみや不安、原爆被害「受忍」政策への態度、日本政府への思い、いま被爆者として言い残したいこと、など、生のこえをとらえた貴重な調査だと、改めて思わされます。

特定非営利活動法人

ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会

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